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薬膳を仕事にする人のためのメルマガ
月刊つばめ通信 2020年3月号
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こんにちは。渡辺真里子です。
いつも「月刊つばめ通信」をお読みいただき、ありがとうございます。
今回は都合により3日遅れの配信とさせていただきました。
また、遅い時間の配信となり、申し訳ありません。
このところの感染症拡大のニュースで
落ち着かない気分の方も多いと思います。
そこで今回は、薬膳・中医学の知識を使ってどう対策したらいいか
ということについて、お話をしたいと思います。
先週の政府からの学校休校要請からぐっと緊迫度を増した感じもしますね。
つばめ薬膳アカデミーもひとまず今月前半に設定していた講座・セミナーは
日程を変更させていただくこととなりました。
先日の講座予定日には、ご自宅におられる受講生のみなさんと
WEB会議システムのZOOMを使ってお話会を行いました。
いつもの顔を合わせた状態とは違い、ちょっと新鮮でしたが
いろいろと心配なことがつのりやすいこの時期にみなさんとお話しできたことで
私も気持ち的に安心できたような気がします。
そのお話会では、中国で出されている治療ガイドラインを使って
今回の感染症が中医学ではどんなふうに考えられているのか、
というお話をさせていただきました。
その時の資料として使ったのがこちらです。
↓
中国国家衛生健康委員会・国家中医薬管理局発行
新型コロナウイルス肺炎治療ガイドライン第6版
https://mp.weixin.qq.com/s/CKyl8JhdpTV-GM-NGh0yvA
本日3月4日付で第7版が発行されました。
http://news.sina.com.cn/o/2020-03-04/doc-iimxyqvz7707317.shtml
残念ながら(?)全編中国語なのですが、読める方はトライしてみてください。
この中には中医での治療についても書かれています。
(第6版は9ページ、第7版は15ページからをご覧ください)
その部分を見ると、医学観察期と臨床治療期の軽型、普通型、重型、危重型、
そして回復期に分けて、弁証とそれぞれの証に推奨される方剤(漢方薬)が
紹介されています。
ひとつひとつを解説すると大変なので、
ざっくりと私が感じたことをお話しすると
今回の感染症の特徴は「湿」が絡んでいることだと思っています。
普通、カゼというと中医学では寒い時期なら「風寒」、
これからのような暖かくなり始めた頃だと「風熱」の邪気によって
引き起こされると考えるのですが、
「湿」が絡んでいるのはちょっと変わってるなあ、という感じがします。
それでも、今回の感染症について、
呼吸器症状だけでなく下痢などの胃腸症状も多くみられることや
いったん完治したと思ってもまた検査で陽性になるケースが多くあること
(中国のデータで14%と言われています)
から考えると、やはり「湿」の対策も考える方が妥当だと考えています。
(湿邪は脾を傷つけやすく胃腸症状を引き起こしやすい。
また粘滞性を持つため、邪気を払い切ることが難しく、
再発しやすいという性質があります)
そんな視点でガイドラインを見ていると、
臨床治療期の最初に書かれている「清肺排毒湯」という方剤は
なかなかおもしろいな、と思います。
この方剤はおそらく今回の感染症の治療のために作られたのでは?と思うのですが
21もの中薬が組み合わされているので、ぱっと見、溺れそうになります笑
ですが、中をじっくり見ていると
「麻杏甘石湯」「五苓散」が含まれていることがわかります。
「麻杏甘石湯」は肺熱の咳に使われ、
「五苓散」は湿邪を取り、浮腫などを改善させる方剤です。
きちんと湿邪対策も考えられていますね。
それはさておき、みなさんが今最も気にされていることは
「いかにしてかからないか」ということだと思います。
なので、中医学の視点から予防対策について考えてみましょう。
まず大事なのは、バリアの気である「衛気」を高めておくこと。
今回に限らずですが、感染症は体の外から中に邪気が入り込むことで起こります。
邪気が体内に入らないように働いているのが、
体表を巡っているとされる「衛気」です。
逆を言えば、衛気が弱まれば、それだけ感染する確率も高くなるということです。
衛気とは気の一種ですから、全身の気が不足すれば衛気も弱まります。
だから、やはり「体力を高めておくこと」「よく食べること」
消耗を防ぐという意味で「よく寝る」ことは
なによりも感染を予防する上で大切なこと、となります。
それから、衛気と関係が深いのが「肺」の働きです。
肺は今回の感染症で侵されやすい内臓ですが、
かからないためには日ごろからしっかりと働いてくれることが重要になります。
その「肺」が傷つけられやすいのが「乾燥」と「寒さ」。
そして「悲しみ」「憂い」という感情です。
なので、現在マスクの予防効果はあまり期待できないとされていますが
(なので、私は今のところ外でもほとんどマスクはしていません)
日ごろから乾燥で咳が出やすい人は「乾燥から守る」意味で
マスクをしてもいいかもしれません。
それよりも私が強調してお伝えしたいのは「不安を持ちすぎないこと」。
不安に駆られて悲しくなったり心配になりすぎると
それだけで肺を傷めてしまいます。
ネットでニュースの深追いのしすぎには要注意。
見るのなら、厚労省などから公的に出されている記事やデータがおすすめです。
また、テレビのワイドショーは、、、
私的には見ることはあまりお勧めできませんねえ。。。
あとはやはり手洗いをしっかりすることです。
外出から帰ってきたら必ず手を洗いましょう。
今回のウイルスはアルコール消毒が有効のようですが、
それと同様に石けんでも効果が認められています。
石けんがない場合でも、流水でしっかりと洗ってくださいね。
ちなみに、「どんぐりころころ」をゆっくりめに歌いながら手を洗うと
だいたい20秒ぐらいになります。
よろしければお試しを。
最後に食事面でのことを書いておきたいと思います。
先ほども書いたようにポイントは「衛気を高める」ということなので
補気の効能を持つ食材、特にお米やいも類はおすすめです。
肺の機能を高めると考えると、やまいもはぴったりですね。
あと、避けてほしいのが「生もの」と「冷たいもの」。
これらは脾胃の機能を損ないますし、湿邪も生みやすいです。
現代の免疫医学でも体温を上げておくことは
免疫力を高める上で大事だとされていますから、
身体を冷やさない意味でも
「生もの」「冷たいもの」はなるべく避けておきましょう。
新しい病気でわからないことも多いため、
どうしても不安になりやすいですよね。
でも、みなさんがお持ちの薬膳・中医学の知識を応用すれば
不安な気持ちも少しは軽くなるのではないかと思います。
今回はそんな気持ちでこのメルマガを書いてみました。
少しでもお役に立てれば幸いです。
しばらくは落ち着かない日が続きますが、
一緒に元気に乗り切りましょうね!
■3月の暦■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3月に訪れる二十四節気と七十二候の暦です。
教室の生徒さんにお伝えしたり、お店のメニュー作りの目安にしたり
ご相談者さんへのアドバイスの参考にしてくださいね。
◇雨水…2月19日
空から降るものが雪から雨に変わる頃。寒さも少し和らぎます。
・末候:草木萌動(そうもくめばえいずる)…2月29日
◇啓蟄…3月5日
冬眠していた虫たちが土の中から這い出してくる頃です。
・初候:蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)…3月5日
・次候:桃始笑(ももはじめてさく)…3月10日
・末候:菜虫化蝶(なむしちょうとなる)…3月15日
◇春分…3月20日
暑さ寒さも彼岸まで。この頃になると冬の寒さも影を潜めます。
・初候:雀始巣(すずめはじめてすくう)…3月20日
・次候:櫻始開(さくらはじめてひらく)…3月25日
・末候:雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)…3月30日
二十四節気とは1年を24等分(約15日間)した季節の暦。
そしてそれをさらに3等分(約5日間)したものが七十二候です。
それぞれの名前は気象や動植物の変化にちなんだものがつけられており、
季節の変化を知る上でとても役に立ちます。
今月は20日にいよいよ春分を迎えます。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、
例年この頃からぐんと気温も上昇します。
それが過ぎると桜の時期。
今年も美しい桜が見られそうですね。
さて、例年3月4月は年度替わりということもあり、忙しくされる人も多いですね。
春はどうしても肝が高ぶりやすいので、ただでさえイライラしやすい季節。
それに加えて、今年は感染症のこともありますし
イライラすることもいつになく多くなることと思います。
ぜひ今月は深呼吸を習慣にしてみましょう。
イライラする時は呼吸が浅くなりがちなので、
しっかりと深く吸い込むことで体もリラックスしやすくなります。
特に朝起きたときがおすすめですよ。
また、イライラした時にはちょっと一呼吸おいてみることもおすすめです。
脇腹を伸ばすストレッチもぜひセットで。
■つばめ薬膳アカデミーからのお知らせ■ーーーーーーーーーーーー
◆【緊急開催】つばめのお茶会
テーマは「薬膳を仕事にしたい人のための“進路相談”」
しっかり学んで資格もとった、でもそれから先の一歩が踏み出せない。。。
そんなあなたのお悩みお聞きします。
あなたらしい「薬膳の仕事のしかた」を見つけてみましょう。
日時は3月20日(金祝)14:00〜16:00
遠方でご希望の方はオンラインでの参加もOKです。
https://tsubameyakuzen.com/webform_11.html?rspdt=2020-03-20&rsptm=14-00&rspdt2=2020-03-20&rsptm2=16-00&rscdid=1278&code_val_3=lugpz3blr4vojpge463jfimzsq
◆薬膳師のためのブラッシュアップセミナー◆
月ごとに平日と週末の各1回開催。
「冷え症」「むくみ」など毎月1テーマを設け、
中医学的な見立て方や薬膳レシピを立てるポイントをお伝えします。
3月…「胃腸の不調」3月15日(日)、3月18日(水)
4月…「皮膚トラブル」4月5日(日)、4月9日(木)
※3月は新型コロナウイルス感染拡大の状況を考慮し、日程を変更しました。
また今後の状況からオンラインでの開催とさせていただくこともあります。
https://tsubameyakuzen.com/contents_166.html
お申し込みの受付は3月分、4月分とも開催1週間前までです。
お申し込みはどうぞお早めに。
◆薬膳レシピ作成スキルアップ講座◆
ベーシックコース次回スケジュール検討中です。
発表までしばらくお待ちください。
https://tsubameyakuzen.com/contents_21.html
◆「薬膳師のための方剤学講座」◆
中医学・漢方の入り口の案内役となることの多い
薬膳のプロ・先生だからこそ、知って活用していただきたい「漢方薬」。
この講座では、特に薬店などで手に入る「漢方薬」に絞って
それぞれの効能や使い分けをご紹介します。
https://tsubameyakuzen.com/contents_202.html
コース受講は満席となりましたが、単回受講は可能です。
お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
↓
https://tsubameyakuzen.com/webform_14.html
◆つばめ相談室◆
薬膳を仕事にするあなたのための120分。
講座をどう組み立てる?
薬膳メニューを導入したいけれど、どうしたらいい?などなど、
仕事をする中で生まれた疑問・お悩みの解決にお役立てください。
https://tsubameyakuzen.com/contents_18.html
◎渡辺真里子登壇イベントのお知らせ
◆「季節の紅茶を味わうレッスン」◆
※日程変更になりました
兵庫・明石開催。
ティーインストラクター木下昌子さんとのコラボイベントです。
春編の今回は和菓子と紅茶のマリアージュを楽しんでいただきます。
もちろん春の養生についてのお話付きです。
4月11日(土)14:00〜
https://ameblo.jp/malicoyakuzen/entry-12573990825.html
◎その他お知らせ
◆「体質タイプ・薬膳茶」オンラインでもお求めいただけます◆
渡辺の体質改善プログラム「体質タイプ・コンサルティング」で
お伝えしている8つの「体質タイプ」。
このほど、それぞれのタイプに合わせた薬膳茶を開発しました。
ちょっと一般では手に入りにくい薬膳素材もラインナップしています。
https://tsubameyakuzen.com/contents_176.html
◆渡辺真里子のLINE@、配信しています。
季節の暦の節目にその時期におすすめの食材・養生法などをお知らせします。
メッセージで食材名を送信すると、その食材の薬膳的効能もお伝えしています。
出先でちょっと効能を調べたい、という時にご利用くださいね。
https://line.me/R/ti/p/%40wli3938k