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薬膳を仕事にする人のためのメルマガ
月刊つばめ通信 2018年11月号
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こんにちは。渡辺真里子です。
ここ数日でずいぶんと寒くなってきました。
なんといっても、来週には立冬がやってきますからね。
冬支度、進んでいますか?
さてそんな、急に寒さが増してくる頃は、
うっかりカゼをひいてしまいやすいもの。
ということで、今回は
カゼの対策を中医学、薬膳ではどう考えるか、というお話です。
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中医学でカゼ対策、というとどんなことを思い浮かべますか?
よく挙げられるのが、しょうが湯やくず湯でしょうか。
あと、詳しい人なら板藍根(ばんらんこん)も思い浮かぶかもしれないですね。
カゼや特にこれからの時期だとインフルエンザに良いとされる中薬で
今ぐらいから漢方薬局の店頭には
エキス顆粒やエキス入りのあめが並ぶようになります。
さてこれらのもの、あなたはいつ飲んだりしますか?
ゾクゾクっとした時?
カゼの季節になったら毎日?
実は中医学視点でのカゼをひく仕組みを考えれば
そのタイミングがおのずとはっきりします。
なのでちょっとここでおさらいをしてみましょう。
カゼ(感冒)は六淫邪気(外感邪気)によって引き起こされる典型的な疾病。
風・暑・火・湿・燥・寒とある六淫邪気の中でも特に関係が深いのが風邪です。
なぜなら、風邪には軽楊開泄(けいようかいせつ)
つまり軽く舞い上げて扉を開き漏らしてしまうという性質があるから。
この場合の「扉」とは、私たちの身体をバリアして守る気・衛気のことです。
カゼとは、風邪によって衛気が破られたことで、
体表に外感邪気が入り込んだ状態なのです。
そのために身体は悪寒や発熱が起こり、
邪気を体外に出そうと咳やくしゃみ、鼻水を出しているのですね。
中医学ではカゼの治療は、体表に入り込んだ邪気を体外に出すこと
専門的には「去邪」することを考えます。
(去の文字は本来は「示+去」です)
それによってよく取られる方法が発汗させること。
カゼの初期は邪が体表にありますからね。
そしてそんな時に使うのが解表類と呼ばれる中薬や食材なのです。
また、人によってはのどの痛みや腫れ、発熱がひどいカゼになることがあります。
この場合は、熱邪が入り込んでいると考えて
解表類の中でも辛涼性のものを選択したり、
もう少し身体の深いところの熱を取り除いてくれる清熱類を選択します。
さて、ここで答え合わせ。
先ほどあげたしょうが湯・くず湯、板藍根、いつ摂ればいいかわかりましたか?
正解はいずれもカゼっぽいなーという症状が出始めたあと、です。
具体的には
しょうが湯は生姜が辛温解表類なので、寒気が強くゾクゾクする時、
くず湯は葛根が辛涼解表類なので、のどにかゆみなど不快感がではじめた時、
板藍根は清熱類なので、高熱が出たり、のどの腫れや痛みがひどい時、となります。
つまり、これらのものってカゼひいた時にいい、とされていますけれど
本来使っていいのは、症状がではじめた時であって、
予防のためにといって毎日漫然と摂り続けるものではない、ということなんです。
食薬の分類でいうと、
解表類も清熱類も、いずれも去邪をするために用いるものですよね。
去邪は、身体に邪気がある時にはとてもいい方法ですが
やりすぎると発汗しすぎたり、体内が冷えすぎたりして
正気を消耗させてしまいます。
だから使う時は慎重にした方が良いのです。
じゃあ、カゼをひく前、予防にはどうしたらいいか、というと…?
先ほど、カゼは風邪が衛気を破ったことで引き起こされる、と書きました。
ということは、カゼをひくということの裏には
襲われた風邪に対して衛気が弱かったということが言えますね。
衛気の弱り、ということは、気が不足していたということ。
疲れた時にコロッとカゼをひいてしまうのは、
疲労によって気が不足していたからというわけです。
そうすると、カゼの予防ってまず一番大事になってくるのは
身体のバリアである衛気を強固にすること、と言えますよね。
そう、取るべき方法は「去邪」ではなく「扶正」、
正気を養うことです。
発汗させたり、清熱したりしてる場合じゃありません。
しっかりと気を養うことがまず大事。
疲労を避けることが大事なのです。
これ、結構見落としがちなポイントなんですよね。
もしあなたの生徒さんやお客様からカゼ対策について聞かれたら
ぜひ「元気を守ること」「過労を避けること」を
アンダーライン引くぐらいの勢いで伝えて差し上げてください。
そしてしょうが湯や板藍根は症状が出始めた時、
怪しいな、という時に勧めて差し上げてください。
ちなみに板藍根ですが、
以前中国でSARSや鳥インフルエンザが流行った時にとても効果を発揮しました。
現代の薬理研究では抗ウイルス作用も認められているので
例えば人混みの中に出かけた時など、どこかでウイルスもらってそうだなー
という時には薬汁でうがいをしたり、エキスを摂っておくとよいです。
これもやはり、やみくもに、ではなく
怪しいな、という時にしましょうね。
■11月の暦■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
11月に訪れる二十四節気と七十二候の暦です。
教室の生徒さんにお伝えしたり、お店のメニュー作りの目安にしたり
ご相談者さんへのアドバイスの参考にしてくださいね。
◇霜降…10月23日
冷え込みが厳しくなり霜が降り始める頃
・末候:楓蔦黄(もみじつたきばむ)…11月2日
◇立冬…11月7日
暦の上では冬のスタート
・初候:山茶始開(つばきはじめてひらく)…11月7日
・次候:地始凍(ちはじめてこおる)…11月12日
・末候:金盞香(きんせんかさく)…11月17日
◇小雪…11月22日
雪国では雪が降り始める頃
・初候:虹蔵不見(にじかくれてみえず)…11月22日
・次候:朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)…11月27日
・末候:橘始黄(たちばなはじめてきばむ)…12月2日
二十四節気とは1年を24等分(約15日間)した季節の暦。
そしてそれをさらに3等分(約5日間)したものが七十二候です。
それぞれの名前は気象や動植物の変化にちなんだものがつけられており、
季節の変化を知る上でとても役に立ちます。
11月に入ると、いよいよ暦の上では冬に入ります。
日中暖かな日もありますが、そろそろコートが手放せなくなる頃。
半ばごろからはあちこちで紅葉が見られるようになります。
冷え込みが厳しくなるほど紅葉の色が美しくなると言われますが
さて今年はどうでしょうか?
気温が下がってくるとカゼをひく人も多くなりますね。
来月になるとなにかと忙しくなりますから、早めに治しておきたいものです。
何よりの特効薬は暖かくして休むことですよ。
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